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1 チリワインの新しい波:「チリワインイベント2008」参加レポート
笛田千容


笛田 千容 2008-6-29 14:11  [返信] [編集]

  6月4日(水)、チリ外務省輸出振興局(ProChile)が主催する「チリワインイベント2008」(於:ヒルトン東京)のテイスティング・セミナーに参加する機会を頂きました。一時期日本のテーブルワイン市場を席巻した「チリカベ」(チリのカベルネ・ソーヴィニオン)ですが、ブームが落ち着いてしまった昨今、同国のワインは如何なる展開を遂げつつあるのでしょうか。ごく平均的なワイン好きの覚え書きですが、ここにセミナーのポイントと感想をまとめてみます。講師は有坂 芙美子 氏 (ヴィノテーク・ファウンダー、ワイン・ジャーナリスト)、ならびに番匠 國男 氏 (ウォンズパブリシング・エディター) のお二人でした。

1.価格と品質の向上:2000円台で勝負
  チリワインの世界戦略は1999年頃に転機を迎えました。その理由は複合的なものでしたが、日本ではポリフェノール含有食品のあぶく流行に乗じた反動が大きかった。ブームが去った後に残ったのはチリワイン=低価格の量産ワインという、お手軽で安定感はあるものの没個性的なイメージでした。日常的なテーブルワインにもそれなりの深みと複雑味を求める消費者にアピールすることは出来なかったようです。そこで始まったのが下記2.で述べるような品種と産地による個性の追求です。現在、日本への年間輸出量116万ケース(1392万本)のうち92%が 750mlボトルあたり1500円以下のヴァライエタル・ワインだそうですが、過去およそ10年間に2000円台にのせられる一段上のワイン造りも小規模ながら着々と進められてきました。実際、この価格帯のチリワインは既に一部で定評を得ているようです。エールフランスのファーストクラスにオンリストされて脚光を浴びたモンテス社のワイン(Montes Alpha Cabernet Sauvignon)などがその代表例でしょうね。とはいえ、チリに限らず近年はニューワールドとそれに対抗心を燃やすフランス人生産者の挑戦によって、2000円台でも素晴らしいワインに出会えることがあります。おそらく白はニュージーランド、赤は南仏あたりが強力なライバルではないでしょうか。

2.品種と産地の多様化:テロワールを求めて
  チリカベの衰退は新しい品種の導入とそれに適した産地の開拓につながりました。スライドで見せて頂いた写真の中には手前にサボテン、遠景には海の見える何やら斬新なブドウ農園もありました。電化によって乾燥地帯にポンプで水を供給できるようになったことが産地の拡大に貢献しているそうです。現在、チリワイン原産地呼称の大分類は(1)アンデス・スロープ、(2)セントラル・ヴァレー、(3)インテリオール(「海岸山脈」と呼ばれる入り組んだ地形が特徴)、(4)コースタルの4つに分けて考えられます。
  コースタルは首都サンティアゴから西に向かったカサブランカ地区やサンアントニオ地区を筆頭に、これまでチリで支配的だったボルドー品種(カベルネ・ソーヴィニオン、ソーヴィニオン・ブラン)ではなく、ブルゴーニュ品種(ピノ・ノワール、シャルドネ)が植えられています。これで世界的なシャルドネ・ブームの時にシャルドネの樹がなかった遺恨を晴らすことができるというものです。また、日本人は無類のピノ好きと言われます(筆者もその例外ではありません)が、試飲させて頂いたところを簡単にご紹介しておきますと、カサブランカ地区のワイン(Viña Casablanca Cefiro Colección Privada Pinot Noir 2007)はブドウそのものの果実味とキャンディーのような香り…これは限りなくボジョレー(ガメイ種)に近いのでは?というチャーミングな印象でした。サンアントニオ地区のワイン(Casa Marin Pinot Noir Lo Abarca Hills 2006)は果実味が燻製のような香りを纏っていて、より複雑な個性を持っているようです。会場の支持が高かったのも後者でした。両者の違いがそれぞれの地区の味を代表しているのかはわかりませんが。
  ほかの地域ではローヌ品種のシラー(オーストラリアのクローン品種を採用している場合はシラーズ)への関心が高く、また、かなり冷涼と思われる南のビオビオ地区などではフランス‐ドイツ国境のアルザス地方で有名なリースリングやゲヴュルツ・トラミネールまでもが栽培されています。国土が南北に長い分、多様な品種のポテンシャルに期待が高まっているようです。

3.固有品種カルメネールの魅力:野菜味は野性的
  カルメネール(Carmenére)はもともとボルドーの伝統品種ですが、その苗木がチリに持ち込まれた後、本国が病害虫(フィロキセラ)による壊滅的な被害を受けたためにチリの固有品種となりました。最近は某コンビニでもカルメネール品種表示ワインが販売されているほどですから、日本での知名度もそこそこ高いのではないでしょうか。このワインには果実味というよりも微かにセロリやピーマンのような野菜味があり、また、造り手によっては鉛筆の芯のような香りがあったりして…それもまた個性かなと思いつつも筆者は個人的に敬遠していました。しかし講師のお一人である有坂氏いわく、カルメネールはブドウが本来持っている野性的な味の原型をとどめていて、果実が晩熟なことに注意して収穫すれば充分に魅力あるワインとして通用するそうです。したがってカルメネールないしそのブレンドで「チリらしさ」を打ち出していくことが正攻法なのだとか。そういえば、シャトー・ムートン・ロートシルトとコンチャイトロ社によるジョイントベンチャーのプレミアム・ワイン「アルマビーバ(alma viva)」にもカルメネールがブレンドされていますね。今回試飲させて頂いたカルメネール60%、シラー40%のブレンド(J. Bouchon Reserva Carmenere / Syrah 2006)はシラー由来のベリーやスパイス感が加わって非常に飲み易く、品種構成的にもチリワインの新展開を象徴しているようです(ちなみに造り手のBouchon氏はポロの選手でもあるそうです)。

  新たに導入されたブドウ品種が生産樹齢に達し、今回のイベントはそれらのお披露目も兼ねていたようです。革新的、建設的といわれるチリ人企業家の気質が伝わってくるようなプレゼンテーションでした。ところで、お隣の韓国はワインブームのようですね。席上配布されたチリワイン企業リストには既に韓国で販路を開拓していて、日本では未だ、というケースが目立ちました。

チリワインに関する詳しい情報はJETROチリ事務所ウェブサイトのワイン専用ページで閲覧することが出来ます。http://www.jetro.go.jp/chile/jp/proyectos/vino/wine.html
ProChileが主催するサイト?も近日公開予定のようです。http://www.wineofchile.com/
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